東京地方裁判所 昭和57年(ワ)985号 判決 1982年10月04日
原告
蒲生孝美
ほか一名
被告
野口雅之
ほか一名
主文
一 被告らは各自原告蒲生孝美に対し金三五万円、原告蒲生京子に対し金二〇万円及びこれらに対するそれぞれ昭和五七年二月七日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。
二 原告らの被告らに対するその余の請求をいずれも棄却する。
三 訴訟費用はこれを一〇分し、その四を原告らの負担とし、その余を被告らの負担とする。
四 この判決の第一項は仮に執行することができる。
事実
第一当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
1 被告らは各自原告蒲生孝美に対し金六〇万円、原告蒲生京子に対し金四〇万円及びこれらに対するそれぞれ昭和五七年二月七日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告らの負担とする。
二 請求の趣旨に対する答弁
1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。
第二当事者の主張
一 請求原因
1 原告孝美は、昭和五五年五月二七日午後一〇時四五分ころ、原告京子の同乗する普通乗用自動車(品川五七ゆ六九七二号)を運転し、港区赤坂一丁目無番地先の首都高速環状内回り道路上で渋滞のため停車したところ、被告野口運転の普通貨物自動車(泉一一え二五三六号)が脇見運転により追突した。
2 被告野口は、脇見運転の過失により本件事故を起こしたものであるから民法七〇九条の不法行為責任があり、被告会社は、右普通貨物自動車を所有し自己のために運行の用に供していたものであるから自賠法三条の運行供用者責任がある。
3(一) 原告孝美は、本件事故により頸椎捻挫の傷害を負い、昭和五五年五月二七日から同年九月八日までの間、二八日にわたり東京慈恵会医科大学附属病院に通院した。右治療費は保険から受領したが、本件事故後被告野口や被告会社の社員は誰も原告らにわびに来たことがなく、誠に不誠意極りなかつた。したがつて、原告孝美の慰謝料としては金六〇万円が相当である。
(二) 原告京子は、本件事故により頸部捻挫の傷害を負い、昭和五五年五月二七日から同年七月三日までの間、二一日にわたり前記病院に通院した。右治療費は保険から受領したが、被告らの不誠実な態度は前同様である。したがつて、原告京子の慰謝料としては金四〇万円が相当である。
4 よつて、被告らに対し、原告孝美は慰謝料金六〇万円原告京子は慰謝料金四〇万円及びこれらに対する本訴状送達の日の翌日である昭和五七年二月七日から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。
二 請求原因に対する認否
1 請求原因1、2の事実は認める。
2 同3(一)、(二)の慰謝料の主張については争う。
第三証拠〔略〕
理由
一 請求原因1、2の事実は当事者間に争いがない。
二 原本の存在及びその成立に争いのない甲第二ないし第五号証、第七ないし第一二号証、第一四、第一五号証、原告孝美本人尋問の結果によれば、原告らは、請求原因3(一)、(二)のとおり、本件事故により受傷し、通院して治療を受けたこと、本件事故後被告野口あるいは被告会社旧商号前川運送有限会社の社員が原告らの許に出向いて見舞や謝罪をしたことはなく、そのため原告らは、被告らの態度に大変憤概していることが認められる。
右事実に、本件事故の態様、傷害の部位等諸般の事情を考慮すると、本件事故による原告孝美の慰謝料は金三五万円、原告京子の慰謝料は金二〇万円と認めるのが相当である。
してみると、被告らは各自原告孝美に対し金三五万円、原告京子に対し金二〇万円及びこれらに対する本訴状送達の日の翌日であることが記録上明らかな昭和五七年二月七日から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払義務を免れない。
三 よつて、原告らの本訴請求は右の限度で理由があるからこれを認容し、その余の部分は理由がないのでこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条、九三条、仮執行の宣言につき同法一九六条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 武田聿弘)